糖尿病・内分泌内科の概要
糖尿病・内分泌内科では、糖尿病を含めた代謝性疾患と、甲状腺疾患および稀なホルモンの異常による疾患を主体とした診療を行っています。
主な対象疾患について
患部 | 病名 |
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糖尿病 | 1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、膵性糖尿病、肝性糖尿病、ステロイド糖尿病、糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧性昏睡 |
代謝性疾患 | 脂質代謝異常症、尿酸代謝異常症、カルシウム・リン代謝異常、低血糖症 |
内分泌疾患 | 甲状腺疾患:甲状腺中毒症(バセドウ病、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎)、甲状腺機能低下症(慢性甲状腺炎)、甲状腺腫瘍 |
副甲状腺疾患:副甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能低下症 | |
視床下部ー下垂体疾患:機能性下垂体腫瘍(プロラクチン産生腫瘍、先端巨大症、他)、下垂体機能低下症 | |
副腎疾患:副腎腫瘍、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫、副腎不全 |
診療内容
糖尿病:糖尿病の治療は継続が重要です。家庭生活・社会生活の中で良好な血糖コントロールを維持することが糖尿病の合併症を防ぐために重要です。食事や運動など生活習慣のチェックとアドバイス、薬物療法の注意、インスリン注射の技術指導、自宅での血糖測定など、糖尿病療養生活に必要なサポートを皆様に提供できるよう医師、看護師、栄養士、薬剤師、検査技師など多くの病院スタッフが連携して診療しています。また持続皮下インスリン注入療法(CSII/SAP)や持続グルコース測定(CGM)など最新の治療法にも取り組んでいます。
甲状腺の病気:甲状腺の病気の治療は、長期継続や定期的チェックなどが必要です。リアルタイムで甲状腺機能の評価ができるよう診察前に採血をし、診察時には主な項目の結果が判明する体制を敷いています。
内分泌の病気:視床下部ー下垂体や副腎、副甲状腺などのホルモン異常による病気を対象としています。月経異常、性欲低下、肥満や痩せ、体毛異常、原因不明の活力低下など、体のどこが悪いかよく分からないけど調子が悪いという時は、ホルモンの異常の可能性も考える必要があります。私達は、このようなホルモン異常による病気の診療経験が豊富ですのでお気軽にご相談ください。
主な検査と治療について
- 糖尿病に関連する検査
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糖尿病の治療を適正化するためには、様々な治療法を組み合わせ、高血糖や低血糖を避けつつ”個々の”状態に応じた血糖コントロールが必要です。血糖値の変化を評価するための検査には以下のような検査があります。
- 血糖値の検査
血糖値は、生活の様々なことに影響され常に上がったり下がったりと変動しています。そのため、測定した時の状態によって「空腹時血糖値」「食後血糖値」「随時血糖値」など、名前が変わります。 - グリコヘモグロビン検査(HbA1c:ヘモグロビン エー ワン シー)
HbA1cは血液中で酸素を運ぶ「ヘモグロビン」とブドウ糖が結合した物質で、過去1〜2カ月の血糖コントロールの状態がわかります。 - 75g糖負荷試験糖尿病の疑いが否定できない方に、強く実施が推奨されています。空腹時血糖値が110~125mg/dL、随時血糖値が140~199mg/dL、HbA1cが6.0~6.4%であれば考慮されます。検査には2時間を要し、5回の採血が必要です。
- 血糖値の検査
- 糖尿病の食事療法
- 糖尿病になったら、厳しい食事制限をしなければいけないと考える患者さんが多いと思います。ところが、糖尿病になったからといって、食べられないものは何もありません。「食事療法」といっても特別なメニューがあるわけではなく、食べ物の栄養バランスと総摂取エネルギーを考えることが大切になります。
また、糖尿病は病型如何に関わらず血中のブドウ糖が上手く利用されずに残されてしまう状態です。血糖値の増加は、理由はなんであれインスリン作用の減弱が原因であり、個々のインスリン作用の能力を超えた糖分の摂取は高血糖の原因となります。個々の状態に合わせた、適切な糖質量=炭水化物量の摂取を行うことは、糖尿病治療の基本となります。必要十分の炭水化物を安定して摂取する食事療法を基礎カーボカウント法といいます。当科では、この食事療法を推奨しています。 - 糖尿病の薬物療法とは
- 適切な炭水化物摂取を行ったとしても、膵臓の能力や身体の状態(肥満など)に応じて個々のインスリン作用は様々であり、必ず血糖コントロールが改善するわけではありません。インスリン作用減弱の状況に応じて不足分を補うのが薬物療法です。
薬物療法は、不足している能力を把握して補うように選択していきます。インスリンの効きが悪くなっている状態(インスリン抵抗性)ではインスリン抵抗性改善薬、インスリンの分泌が低下している状態ではインスリン分泌改善薬、糖分の吸収量や吸収速度を調整する薬、などがあり、それぞれに異なる作用機序を持つ薬剤があります。大切なことは、患者さんの生活様式と身体状況を把握し、個々の状態に応じた組み合わせを探すことにあります。 - 糖尿病の新しい薬物療法:インクレチン関連薬とSGLT2阻害薬
- 食事をとると小腸から分泌され、インスリンの分泌を促進する働きをもつホルモンをインクレチンといいます。その中でも糖尿病に対する新たな治療薬として注目されるのがGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)です。
GLP-1は食事をとって血糖値が上がると小腸のL細胞から分泌され、すい臓のβ細胞表面にあるGLP-1受容体に結合し、β細胞のインスリン分泌を増強します。また、強力な胃内容排泄時間遅延作用を持ちます。
多くの糖尿病治療薬は体重増加作用を合わせ持ちますが、GLP-1受容体作動薬は胃内容排泄時間遅延作用を含めた食欲抑制作用によって体重増加を来しにくい薬剤として近年注目されています。
SGLT2阻害薬は腎臓の近位尿細管でのブドウ糖再吸収を抑制し、尿からの糖分の排泄を促進する新しいお薬です。血糖値を降下させつつ体重低下が期待される薬剤で、最近は心不全死を抑制する効果が確認され、その適応が広がりつつあります。 - 糖尿病の薬物療法:インスリン療法
- インスリンは、すい臓の中にあるβ細胞から分泌されるホルモンです。1921年、バンティングとベストによって発見されたこのホルモンは、1922年に世界で初めて1型糖尿病患者に投与され、劇的な病状の改善が得られました。以降、動物から抽出されたインスリンの精製技術の向上、遺伝子導入細菌によるヒト型インスリンの大量生産の時代を経て、現在は新しい遺伝子組換え技術を利用してアミノ酸配列を変更したインスリン:アナログ製剤が用いられています。インスリン・アナログ製剤は、ヒト型インスリンとは異なる性質を獲得しました。注射後10分以内に効果発現する超速効性製剤から、注射後48時にわたる効果発現する持効型製剤まで使用可能となっています。
インスリンの投与方法も、注射器とインスリンカートリッジが一体化したディスポーサブル製品と世界一細い針を用いることで手間と痛みの少ない自己注射が可能となっています。
またコンピューター制御されたポンプによる持続皮下インスリン注入療法(CSII)や、持続皮下グルコース測定を併用したインスリン注入制御(SAP)などが実用化されており、当院でも1型糖尿病患者さんを中心に運用しています。 - 甲状腺超音波検査
- 甲状腺の大きさや内部の状態を把握するために行います。腫瘍を認める場合、日本乳腺甲状腺超音波医学会の基準に従って超音波ガイド下穿刺細胞診を行います。
- 下垂体前葉機能検査
- 下垂体前葉機能を評価するため、前葉を刺激/抑制する薬剤投与に対する反応をみる試験=負荷試験を行います。主な負荷試験として、GH-RH、TRH、CRH、LH-RHによる前葉刺激試験、および下垂体副腎のネガティブフィードバックを見るための試験=デキサメサゾン負荷試験、副腎機能を見るための試験=Rapid ACTH負荷試験があります。
スタッフ紹介
部長メッセージ
糖尿病は有病率において最新の統計情報で増加こそ止まったものの8%と高い水準で推移しており、また高齢者における有病率は長寿化の影響もあり更なる増加が予想されています。糖尿病の病因には過食や運動不足などの生活習慣に起因する要素のみならず、膵臓のインスリン分泌能や臓器側のインスリン感受性の低下などの要素が複雑に絡み、個々の患者さんの病態はまさに十人十色です。その病態に応じて必要な対応を行うことが、現代の糖尿病診療に求められています。
当科は1日当たり平均70名を超える糖尿病外来通院患者の診療にあたっています。その中にはカーボカウント法を基礎とした食事療法のみの患者さんからインスリン療法中、応用カーボカウント法を用いた強化インスリン療法、持続皮下インスリン注入療法(CSII)や血糖制御式ポンプ療法(SAP)、フラッシュグルコースモニタリング(FGM)といった最先端の治療を行っている患者さんまで、多種多様な患者の治療にあたっています。
また当科は日本糖尿病学会認定教育施設でもあり、糖尿病学会専門医のサブスペシャリティ取得を目指す医師の研鑽の場として当院に医師が集うよう活動してまいります。
糖尿病・内分泌内科 佐々木昭彦
- 氏名
- 佐々木 昭彦
- 武田 則之
- 杉本 美雪
- 金田 知子
- 梶浦 康平
- 職務
- 教授
- 教授
- 講師
- 医師
- 医師
- 専門分野、学会認定など
- 糖尿病内分泌疾患
- 糖尿病内分泌疾患
- 糖尿病内分泌疾患
- 糖尿病内分泌疾患
- 糖尿病内分泌疾患
- 卒業大学
- 岐阜大学
- 岐阜大学
- 藤田医科大学(旧藤田保健衛生大学)
- 近畿大学
- 卒業年
- 1993
- 1977
- 1988
- 2015