整形外科の概要
整形外科では腰痛や関節痛などの慢性の病気から靭帯損傷や骨折などの外傷まで幅広い疾患を治療します。
「リウマチ・人工関節外来」、「膝・スポーツ外来」、「脊椎外来」の3つの専門外来を設けて、皆さまに分かりやすい医療を目指すとともに、より質の高い医療を提供します。
また、当院の伝統である骨折などの外傷治療もわれわれが得意とする分野です。いずれの分野においても最新の医療技術を取り入れて、早期の社会復帰を目指します。
当院では回復期リハビリテーション病棟、そして地域包括ケア病棟を併設しています。手術を受けた患者さんは急性期病棟で治療を受けた後、必要に応じてこれらの病棟に移っていただき、出来るだけ早く家庭や社会に復帰することを目的として十分なリハビリテーションを受けていただきます。
主な対象疾患
病名 |
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関節リウマチ |
股関節や膝関節における変形性関節症といった関節の変性疾患 |
膝前十字靭帯損傷・膝半月板損傷や野球肘などのスポーツ外傷および障害 |
腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などの脊椎疾患 |
脊椎椎体骨折、大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折といった骨粗しょう症を伴う高齢者の骨折およびその他外傷一般 |
ばね指、手根管症候群、肘部管などの手や末梢神経の疾患 |
診療内容
関節リウマチはできる限り早期の診断・治療を行っています。治療の基本は薬物療法ですが、必要に応じて手術治療も行います。また関節リウマチ以外にも関節疾患の代表とも言える変形性関節症の治療を行っています。
膝・スポーツにおいては競技レベルを問わずスポーツ選手の外傷・障害を治療しています。靭帯損傷や半月板損傷といった膝関節の疾患が多く、その豊富な治療経験を生かして変形性膝関節症の骨切り術の手術も行っています。
脊椎では椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった変性疾患のみならず、骨粗しょう症性の脊椎椎体骨折などの外傷や化膿性脊椎炎のような感染症の治療も行っています。
外傷においては高齢者に多い大腿骨近位部骨折をはじめとして小児から成人まで幅広く四肢の骨折を治療しています。
主な検査と治療について
- 関節リウマチ
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関節リウマチは全身の関節が痛くなる疾患です。原因についてはわかっていませんが、全身の免疫に異常を生じた結果関節炎を生じます。当院ではできるだけ早期に診断して薬物療法を行っています。また、薬物療法では抑えられない関節の痛みや関節の変形がある場合は手術を行っています。
- 変形性関節症
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変形性関節症は関節の軟骨が摩耗することで関節が痛くなる疾患です。荷重関節である股関節、膝関節によく見られますが、足関節や肘関節関節にも見られることがあります。股関節や膝関節の変形性関節症の治療は体重の減量や関節の周りの筋力トレーニングを指導しながら、痛みに対して薬物療法を行う保存療法が主体です。しかしながら保存療法が無効な場合には骨切り術や人工関節手術を行います。
- 膝前十字靭帯損傷
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膝の関節内靭帯である前十字靭帯(ACL)は大腿骨と脛骨を連結する重要な靭帯ですが、スポーツによる膝の捻挫などで容易に損傷・断裂する靭帯です。個の靭帯が断裂すると膝がぐらつき、半月板損傷を生じやすくなるだけでなく将来的に変形性膝関節症を生じる可能性があります。したがってACL損傷と診断した場合は靭帯再建手術を行います。
- 膝半月板損傷
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半月板は大腿骨と脛骨の間にある軟骨で、膝関節における荷重の分散や安定化の役割があります。半月板が損傷されると痛みを生じたり、ロッキングと言って膝の動きに制限を生じます。この場合関節鏡視下に半月板を縫合あるいは切除します。
- 腰椎椎間板ヘルニア
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椎間板は脊椎の椎体間にある軟骨です。腰椎椎間板ヘルニアでは腰椎において椎間板の一部が後ろへ脱出し、神経根を圧迫して坐骨神経痛を引き起こします。内服や注射といった薬物療法で痛みが軽減しない場合には、内視鏡下または顕微鏡視下に椎間板ヘルニアを摘出します。
- 腰部脊柱管狭窄症
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加齢とともに腰椎の変形やすべりを生じ、その結果、腰椎における神経の入っている管(脊柱管)が狭くなる疾患です。腰椎椎間板ヘルニアと同様に薬物療法を行いますが、その治療効果が得られない場合は脊柱管を広げる手術や腰椎を固定する手術を行います。
- 脊椎椎体骨折
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加齢や薬物の影響などで骨粗鬆症を生じると、転倒したり重量物を持っただけで脊椎の椎体骨折を生じます。コルセットや薬物療法で痛みが軽減しない場合は、骨折した椎体に骨セメントを注入する経皮的脊椎椎体形成術(balloon kyphoplasty ; BKP)を行います。
- 大腿骨近位部骨折
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骨粗鬆症を有する高齢者が転倒した後、脚のつけ根が痛くなり歩けなくなった場合はまずこの骨折を疑います。画像検査で診断した後できるだけ早期に手術を行います。骨折型により骨接合術を行うこともあれば人工骨頭置換術を行うこともあります
- 橈骨遠位端骨折
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骨粗鬆症を有する高齢者が転倒して手をついた時に生じる骨折です。手関節(手首)の痛みと腫れがありX線写真で診断します。骨折による骨のずれを戻してギプスで固定しますが、ギブス内で再度骨がずれたり、粉々に粉砕している骨折は掌側プレートによる手術治療を行います。
実績
手術実績 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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観血的骨接合術 | 277 | 177 | 187 | 177 | 234 | |
関節形成術 | 17 | 11 | 7 | - | 5 | |
関節固定術 | - | 3 | 1 | 8 | 5 | |
人工関節置換術 | 股 | 21 | 18 | 22 | 28 | 26 |
膝 | 44 | 12 | 24 | 40 | 63 | |
肩 | - | - | - | 1 | 1 | |
人工股関節再置換術 | 3 | - | - | 1 | - | |
人工膝関節再置換術 | 1 | - | - | - | - | |
人工骨頭置換術 | 51 | 50 | 42 | 57 | 57 | |
鏡視下膝靭帯再建術 | 101 | 83 | 79 | 108 | 103 | |
鏡視下半月板手術 | - | 23 | 28 | 35 | 33 | |
肩の鏡視下手術 | - | - | - | - | 23 | |
その他関節鏡手術 | 120 | 21 | 17 | 19 | 15 | |
骨切り術 | 26 | 23 | 21 | 16 | 18 | |
脊椎手術 | 頚椎 | 13 | 10 | 10 | 14 | 7 |
胸椎 | 4 | 10 | 11 | 12 | 16 | |
腰椎 | 55 | 109 | 119 | 130 | 143 | |
胸椎・腰椎同時 | - | - | - | 1 | - | |
骨軟部腫瘍 | 11 | 12 | 6 | 11 | 14 | |
骨内異物除去術(抜釘) | 56 | 97 | 76 | 66 | 92 | |
腱の手術 | 32 | 13 | 17 | 37 | 30 | |
末梢神経の手術 | 8 | 6 | 11 | 6 | 10 | |
四肢切断術 | 4 | 4 | 6 | 3 | 9 | |
その他 | 26 | 15 | 18 | 18 | 36 | |
合計 | 870 | 697 | 702 | 788 | 940 |
スタッフ紹介
整形外科は運動器の痛みや機能障害を治療することで生活の質を高めることを目指す科です。運動器の疾患は多岐にわたるため、一人の医師がすべての運動器疾患を適切に治療することは困難です。当院では専門性を持った医師同士がチームを組んで治療にあたっています。
整形外科 今泉佳宣
氏名 | 職務 | 専門分野、学会認定等 | 卒業大学 | 卒業年 |
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日下 義章 | 教授 | 関節リウマチ、その他関節疾患 | 京都府立医科大学 | 1980 |
大友 克之 | 教授 | 骨、軟部腫瘍、手の外科 | 昭和大学 | 1991 |
今泉 佳宣 | 教授 | 脊椎外科 | 京都府立医科大学 | 1987 |
塚原 隆司 | 教授 | 膝疾患、スポーツ外傷 | 名古屋大学 | 1986 |
星野 雄志 | 教授 | 脊椎外科、脊椎脊髄外科指導医 | 昭和大学 | 1997 |
平岩 秀樹 | 教授 | 整形外科一般 | ||
河合 亮輔 | 准教授 | 膝疾患、スポーツ外傷 | 藤田医科大学(旧藤田保健衛生大学) | 2004 |
前田 昌俊 | 准教授 | 整形外科一般 | 京都府立医科大学 | 2006 |
岡田 貴史 | 医師 | 整形外科一般 | ||
武内 優子 | 医師 | 整形外科一般 | ||
酒井 周 | 医師 | 整形外科一般 | ||
酒井 愛 | 医師 | 整形外科一般 | ||
山賀 寛 | 客員教授 | スポーツ外傷 | ||
市田 正成 | 非常勤 | 形成外科 | ||
堀 義紀 | 非常勤 | スポーツ外傷 | ||
中島 洋 | 非常勤 | リウマチ内科 | ||
酒井 忠博 | 非常勤 | 肘・肩疾患 | ||
山賀 篤 | 非常勤 | 整形外科一般 |