脳卒中センターの概要
2018年12月に脳卒中・循環器病対策基本法が制定され、それに基づいて作成された5カ年計画で脳卒中と循環器病による死亡率を5%低減するという目標が設定されました。そのための体制整備を行う第一段階として2019年は一次脳卒中センターの整備が行われ、当院も認定されました。
今後、段階的に血栓回収センター、包括的脳卒中センターが整備されていく予定です。一次脳卒中センターは主に急性期脳梗塞に対するtPA静注療法が24時間体制で行える施設で、血栓回収センターはそれに加え経カテーテル塞栓捕捉療法が行えること、包括的脳卒中センターでは急性期脳梗塞だけではなく脳出血やクモ膜下出血などの外科的治療も時間をおかずに実施できる体制が整備された施設ということになります。
それらの体制に必要な人員、設備が備わった施設が認定されるわけですが、現在のところ包括的脳卒中センターの条件を満たせる施設は岐阜県には当院を含めて2施設のみです。岐阜県は比較的広い面積に山間部が多いという特徴があり、高度医療を行うために患者を集中させることが難しい条件があります。脳神経血管内治療専門医、実施可能施設ともに岐阜市域に偏在しており、飛騨、中濃、東濃地区ではいずれも大きく不足しています。
今後はこれらの地区との連携をはかって岐阜県全体としての脳卒中治療を充実させていく必要があります。
主な対象疾患について
- 病名
- 脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血、一過性脳虚血発作
診療内容
くも膜下出血や脳梗塞などの治療に一刻を争うような疾患を対象にしていますので、24時間救急に対応し、来院後1時間以内には治療を開始できる体制をとっています。脳卒中センターでは、脳卒中専門医を中心に、多科、多職種から構成するチームが核となり、系統的な脳卒中管理指針に従い治療を行っています。脳卒中の診療は迅速かつ適切な診断、脳卒中チームの意思統一のもとでの迅速な対応など、いわば病院全体の総合力が問われます。急性期脳卒中に対する再開通療法が年々増加していることは、当院の脳卒中チームの習熟度を示しているものと考えられます。さらに回復期リハビリ病棟を併設していますので、急性期から回復期までの一貫した途切れのないリハビリテーションが可能で、社会復帰率を向上させています。
実績
検査内容 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
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くも膜下出血 | 20 | 15 | 22 | 26 | 28 |
脳出血 | 11 | 13 | 18 | 22 | 42 |
tPA静注療法 | 21 | 29 | 38 | 40 | 45 |
血栓回収療法 | 12 | 14 | 15 | 27 | 30 |
部長メッセージ
急性期脳卒中の治療数は岐阜県内最多で東海地方でも有数です。これは“脳卒中を発症したらすぐに朝日大学病院に”という認識が定着してきた結果と思われます。今後も引き続き努力していきたいと思っております
脳卒中センター長 郭 泰彦