朝日大学病院

岐阜県岐阜市 橋本町3丁目23番地 [JR岐阜駅より徒歩約7分]

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放射線治療科

放射線治療科の概要

放射線治療科では、常勤放射線治療専門医(がん治療認定医)を筆頭に医学物理士、診療放射線技師、看護師が一丸となってチーム医療をしています。放射線治療では、医師と医学物理士が、患者さんひとりひとりに合わせた緻密な治療計画を共同で作成し、その計画通りの放射線を照射するために、ミリ単位で制御可能な装置を使用し、安全で、より精度の高い治療を行っています。また専従看護師による体調管理や精神的ケアを通して患者さんに寄り添う医療を目指しています。

  • 放射線照射中の遠隔放射線治療操作

    放射線照射中の遠隔放射線治療操作

  • スタッフ

    スタッフ

  • 放射線治療装置(エレクタ シナジー)

    放射線治療装置(エレクタ シナジー)

診療内容

当科の特色は、定位放射線治療いわゆるピンポイント照射や強度変調放射線治療(IMRT)など高精度な放射線治療行っていることです。ピンポイント照射(定位放射線治療: SBRT)は、主に肺がんや肝臓がんに対して行い、腫瘍に対して多方向から集中して放射線を照射します。治療回数は患者さんに合わせて4回から10回程度です。(1日あたり1時間以内で治療が済むので通院で治療可能です)放射線治療後3ヶ月程度で腫瘍がほぼ消失する場合もあります。その他、脳腫瘍など、病変が複数ある場合でも安全に精度よく放射線を当てることが可能です。強度変調放射線治療(IMRT)は、頭頸部がんや前立腺がんでよく使われる治療方法です。周囲の正常な臓器にできるだけ放射線が照射されないように、患者さんひとりひとりに合わせた緻密な治療計画によって副作用をこれまでより少なくする治療方法です。

主な検査と治療について

脳腫瘍
原発性脳腫瘍は主に手術後の術後照射の適応となります。腫瘍の部位だけでなくその周囲も再発リスクが高いため、広範囲の照射となるケースが多くなります。脳の近くには眼球や水晶体、視神経、脳幹といった重要臓器があるため、IMRTがよい適応となります。治療は30回程度が標準です。副作用は局所の脱毛、頭痛、気分不快、白質脳症、放射線脳壊死などがあります。転移性脳腫瘍は腫瘍サイズが大きく症状が強い場合などを除いては手術となることは少なく、放射線治療を行うことが多いです。転移の数が少ない場合には、病変部位に照射範囲を絞って高線量を当てて治療を行う脳定位放射線治療が有効です。脳定位放射線治療は1~3回の治療となります。副作用はてんかん、放射線脳壊死などがあります。(図:脳定位放射線治療)
脳腫瘍
頭頸部がん
咽頭がんや喉頭がんなど主に頸部に発生するがんです。手術が困難なことや、術後の後遺症が大きいことなどから放射線治療の適応となることが多い疾患です。頭頸部には視神経・視交叉、脳幹、脊髄、耳下腺、下顎骨などの重要な臓器が密集しており、従来の治療では重篤な副作用が出現する危険性から治療効果が得られにくい領域でした。しかし、IMRTにより重要臓器を極力さけながら病変部に十分な放射線量を投与することが可能となりました。副作用は頸部の広範囲の皮膚炎や粘膜炎による疼痛、唾液腺障害による唾液分泌低下、味覚障害、顎骨壊死など多岐にわたります。(図:頭頸部がんに対するIMRT)
頭頸部がん
肺がん
早期の肺がんは手術で取り切れる場合が多いですが、進行した肺がんでは手術で取り切れない場合が多く、放射線と抗がん剤を組み合わせた治療を行います。放射線治療の役割は、CT画像などで見られる腫瘍に対して放射線を照射することです。それに対して、目に見えないがんは抗がん剤で治療します。放射線治療は基本的に、毎日少しずつ放射線を当て続けます。これはがん細胞より正常細胞の方が早く修復する能力があるためで、適度に分割することでがん細胞を死滅させつつ、正常細胞を生かすことができます。一般的な肺がんの場合、放射線治療は1日1回、週5回、合計30回行います。土、日曜日には治療をしないので、6週間で終わる治療となります。抗がん剤を用いた場合は入院して治療しますが、放射線治療だけならば通院治療も可能です。(図:肺がん定位放射線治療、IMRT)
IMRT SBRT
乳がん
近年、乳がんの治療は乳房を温存した手術が多いですが、腫瘍が大きい場合は、乳房を全摘することもあります。また、手術の前に抗がん剤治療などをする場合があります。手術後は再発のリスクを下げるため、基本的にすべての患者さんで放射線治療を行います(図:乳がん放射線治療)。赤い部分は、放射線が照射されている範囲です(乳腺全体に照射)。一般的な乳癌の放射線治療は、土、日曜日を除き、続けて25日間行います。腫瘍が大きくホルモン療法の適応がある場合は、放射線治療後にホルモン療法も追加します。
乳がん
胃がん
胃がんの治療方法の第一選択は手術です。また進行している状態では、抗がん剤も併用します。しかし、進行胃がんにおいては、出血により貧血が進行します。そのような場合は、手術で腫瘍だけを避難的に切除したり、内視鏡で焼灼(しょうしゃく)します。それでも出血が止まらない場合や、手術による体への負担が大きすぎる時は、止血のために放射線治療を行います。通常5~10回に分けて照射します(当院では5回)。

治療中は、放射線の影響で気持ちが悪く感じる患者さんもいますが、治療が終われば普通の状態に戻ります。治療後1~2週間で出血が止まることが多く、輸血も不要になるため退院することも可能です(図:胃がん放射線治療)
胃がん
直腸がん
直腸癌の治療法として、 日本では手術治療が中心ですが、 欧米および日本以外のアジアの先進諸国では放射線療法あるいは放射線と抗癌剤を一緒に用いる化学放射線療法を手術前に行ってから手術を行う”集学的”治療が標準的な治療法として確立しています. 一般的に、 直腸癌を手術だけで治療した場合、 骨盤内の再発率は12-20%ですが、 手術前に(化学)放射線療法を行うと、 再発率は数%程度に減少します. 手術前の化学放射線療法によって 約20%の患者さんでは直腸の癌が消失し、 約30%の患者さんではステージ(病期)が改善します. これらの約50%の患者さんでは、 肝臓や肺の再発も少なくなり生存率が改善することがわかっています。 残りの約50%の患者さんの肝臓や肺の再発を防ぐ試みが世界中で行われています。
肝臓がん
肝細胞がんは慢性肝炎、肝硬変の患者に発症することが多いがんです。治療法として手術、腫瘍をピンポイントに焼灼する穿刺治療(RFA等)、血管内カテーテルを用いた経動脈的腫瘍塞栓術(TAE、 TACE)などがあり、放射線治療はあまり行われることがありませんでした。しかし、放射線治療の高精度化に伴い、腫瘍に集中して放射線を照射するピンポイント照射が行われるようになり、有用な治療効果の報告が集まってきました。特に腫瘍の近くに太い血管や胆管など守らなければならない正常組織がある場合は、ピンポイント照射が選択される場合が多いです。(図:肝臓定位放射線治療)
肝臓がん
子宮がん
子宮頸がんは、ステージが0~ⅣB期に分かれており、進行度が高いほど数字が大きくなります。全米総合がんセンターネットワーク(NCCN)ガイドラインによると、治療方法に関しては手術と放射線(化学)療法があり、ステージによって治療方法が変わります。ステージが0~ⅠA期に関しては、手術(円錐(えんすい)切除)が選ばれることが多いです。ⅠB期・ⅡA期に関しては、手術と放射線治療の治療成果は同等とされ、患者さんの好みによって治療方法が選べることになります。ⅡB期以上のステージに対しては、手術という選択肢は示されておりません(NCCNガイドラインによる)。放射線治療を軸に治療を考えます。
発見される時期によって、治療方法が大きく異なります。また治療方法は手術と放射線治療では大きく異なり、子宮温存や排尿障害といった選択や後遺症についても加味し、治療方法を選ぶ必要があります。(図:子宮がんに対する骨盤照射)
子宮がん
前立腺がん
PSA検診の普及などにより早期で発見されるケースが増えています。前立腺周囲には膀胱や直腸があり、放射線による膀胱炎(頻尿や尿勢低下、排尿時痛、血尿)や直腸炎(直腸出血)などが問題となります。IMRTの導入により、膀胱や直腸への放射線量を抑えながら前立腺に十分な放射線量を確保することができ、副作用を低減しつつ従来以上の治療効果が期待できるようになりました。治療回数は38回(術後の場合は35回)を標準としており、ホルモン療法を併用します(低リスクの場合は放射線治療のみとなります)。副作用は頻尿、排尿時痛、尿勢低下、治療後時間が経過してからの血便、血尿などがあります。(図:前立腺がんに対するIMRT)
前立腺がん1 前立腺がん2
転移性骨腫瘍
転移した骨に放射線治療をします。全身のどこの骨でも治療が可能です。治療すると同時に痛みが減り、鎮痛薬も減らすことができます。効果は半年ぐらいですが、亡くなるまで、痛みがぶり返さなかった患者もたくさんいます。ほとんどが通院で治療ができ、1回10分ぐらいで済みます。治療日数は、病院までの距離や交通手段、サポートしてくれる人の有無などを考えて、照射回数は1~10回となります。
最近、末期患者に対する緩和ケアとして、痛みの症状を取って残された時間を有意義に過ごすための治療も進歩してきました。がんは進行すると、骨や脳に転移することが多くなってきます。骨に転移すると当然痛みは出ます。痛みが出たら鎮痛薬を飲むのですが、鎮痛薬の副作用(便秘・眠気・口渇・嘔気(おうき))などが出現する場合は、鎮痛薬を増やすことが難しくなります。その場合に放射線治療をして痛みが減り、鎮痛薬も減らすことができれば、ずいぶんと体は楽になります。
緩和照射
がんは進行するにしたがって転移が出てくるようになります。とりわけ骨に転移した場合は痛みが強く、骨折することも少なくありません。このような場合、骨に対する緩和照射は骨折予防だけでなく(CT画像は骨が黒くスカスカの状態(図:1)ですが、緩和照射によって白く固い状態に(図:2)に変化します)、痛みを和らげることで鎮痛薬を減らす効果もあり、副作用の軽減も期待できます。また腫瘍からの出血・壊死など、悪性腫瘍に起因する諸症状の改善を目的とします。骨転移に対する疼痛緩和照射は有効性が高く、副作用も少ないため、症状のある方にはおすすめされる治療です。また腫瘍からの出血・皮膚潰瘍なども、効果がみられるまでに2週ほどはかかりますが有効性は高いと考えています。転移が原因で神経症状が出現し始めている場合などは、診察日当日に治療を開始する緊急照射も行っています。
緩和照射1 緩和照射2
少数転移(オリゴメタスタシス)
がんの中には広範囲に転移する能力を獲得しておらず、少数個の転移のみ存在する状態がある考えられています。そういった広範囲に転移する前の少数個の転移状態を"オリゴメタスタシス"(oligometastases)と呼びます。医療の進歩により少数転移(オリゴメタスタシス)の頻度は高まり、治療成績も向上しています。オリゴメタスタシスは、少ない転移数で見つかっていますので、患者さんの予後を延長することも報告されており、放射線治療の適応となります。放射線治療はピンポイント照射で行うことが多く、数日で治療は完了します。

スタッフ紹介

部長メッセージ

学部長

当科はがんの放射線治療を担当しています。全身すべてのがんに対して治療を行っており、他科の先生と協力して診療にあたっています。いわゆる病院の中央部門と言われる科(他に中央部門と言われるのは画像診断科、麻酔科や病理診断科があります)。病院の質はこの科がどれだけ臨床力が高いかで決まってきます。そのため、当科は他科と毎週会議をしながらどの治療方法が最適か決めております。
近年の放射線治療はかなり高精度になってきました。それは定位放射線治療(SBRT)と強度変調放射線治療(IMRT)ができるようになったことです。たとえば転移のない肺がんにSBRTを使うことによって4日間で治療が完結します。また肝臓がんも同様に4日間ぐらいで治療が完結します。またSBRTを行った場合の治癒率は8割ぐらいあり、手術と同程度の治癒率にあがってきています。もう一つのIMRTは様々な角度からの放射線ビームに強弱をつけて照射できるようになりました。それによってたとえば前立腺ではIMRTを用いることで、がんに対してより多くの放射線を照射できるようになり、生存率も飛躍的に伸びました。
このような新しい技術でこれまで手術でしか治らなかったものが治るような時代になりました。当院もこようなハイテクな機械を駆使して「治る」がん治療を勧めてまいります。またセカンドオピニオンとして放射線治療専門医の意見も公開しています。気になる点がありましたら病院に問い合わせてください。

放射線治療科  田中修

氏名 職務 専門分野、学会認定等 卒業大学 卒業年
田中 修 准教授 放射線治療全般、がん治療認定医(日本がん治療認定医機構)、放射線治療専門医(日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会) 岐阜大学 2002
谷口 拓矢 診療放射線技師 放射線治療品質管理室 室長、医学物理士、第一種放射線取扱主任者、X線作業主任者    
大野 光生 診療放射線技師 医学物理士    
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