泌尿器科の概要
泌尿器科は大きく分けて、尿路(腎臓・尿管・膀胱・尿道)、男性器(前立腺・精巣・陰茎)、内分泌器(副甲状腺・副腎)の病気を取り扱います。
泌尿器科領域の癌、特に腎癌、膀胱癌、前立腺癌は年々増加しています。また、高齢化に伴い、男女ともに排尿症状(頻尿、尿失禁、残尿感など)で困られている患者さんが増加しています。
この他、膀胱炎や前立腺炎などの感染症、腎尿管結石が当科を受診される患者さんに多い病気です。
主な対象疾患
病気 | |
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尿路性器癌 | 腎癌、尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌など |
尿路結石症 | 腎結石、尿管結石、膀胱結石など |
尿路性器感染症 | 腎孟腎炎、膀胱炎、前立腺炎、精巣上体炎 |
性行為感染症 | |
前立腺肥大症 | |
排尿障害 | 神経因性膀胱、過活動膀胱、尿失禁 |
副腎腫瘍 | |
副甲状腺機能亢進症 | |
間質性膀胱炎 | |
小児泌尿器科 | 停留精巣、包茎など |
腎不全 |
診療内容
【外来診療】
外来は月曜日から金曜日まで診療しています。基本的には午後2時まで行っています。
主な検査と治療について
- 尿路性器癌について
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基本は入院治療ですが、外来では治療方針を決めるための各種検査を行います。検査としては、血液・尿検査、画像検査(超音波、CT、MRI、シンチ)、細胞診検査や生理検査(心電図、呼吸機能など)を実施します。 退院後は外来通院にて経過観察を行います。基本的には退院後1年は毎月1回の通院を、2年目からは2ヶ月毎に、3年目は3ヶ月毎となりますが、病状によりその間隔や通院期間は異なります。 定期的に血液・尿検査、超音波検査が行われます。膀胱癌では膀胱鏡を、全ての癌でCT検査も年に1~2回行います。
前立腺癌に対してホルモン療法が行われている場合は、病状にもよりますが、1~3ヶ月毎に通院して、投薬と注射またはどちらかが行われます。定期的に腫瘍マーカー(PSA)を測定します。 外来で抗癌剤を投与することもあります。 - 尿路結石症について
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結石の位置と大きさによりますが、基本的には自然排石を促す保存的治療を最初に行います。
3ヶ月経過しても自然排石されない場合、尿路感染症を合併している場合、腎機能が低下している場合では入院治療となります。保存的治療では、生活指導と薬物内服となります。 尿検査と画像検査(超音波、単純X線撮影:KUB、場合によりCT)を行います。通院は2~4週間毎になります。尿路結石を繰り返す場合には、ホルモン検査なども行います。
手術はレーザーを用いた経尿道的内視鏡手術を実施しています。 - 尿路性器感染症について
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38度以上の発熱があり、重症または重症への移行の危険性が高い場合は入院治療となります。外来では、薬物内服が基本ですが、点滴通院が必要な場合もあります。 重症度を判定するために、尿・血液検査、尿培養検査と超音波検査、場合によってはCT検査も行います。再発を繰り返す場合には、膀胱鏡検査なども行います。 通院は1~2週間毎になります。
- 前立腺肥大症・排尿障害について
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ここ10年間で次々と新薬が出てきました。新薬をいろいろと使い分けることで、症状の緩和が期待できるようになりました。 ただし、完治は難しく、症状にあわせて、薬剤の変更や、休薬して治療していきます。また、前立腺肥大症では、手術を行うこともあります。 当院では手術の第一選択として経尿道的レーザー前立腺切除術(HoLEP)を行っています。また膀胱機能の低下による高度の残尿を認める場合には、間歇導尿やカテ?テル留置が行われます。 排尿障害がある場合、膀胱炎の合併や腎機能の低下が時に起こりますので、通常1~3ヶ月毎の通院が必要です。
- 腎不全について
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本院の腎臓内科と協力して、主に手術(内シャントの作製・修復、人工血管の移植、腹膜潅流カテーテルの腹腔内留置)を実施しています。
外来特殊検査
膀胱鏡検査
当院では軟性ビデオファイバースコープにて実施しています。男性でも無麻酔にて実施可能です。足が曲がらない方でも可能です。通常は予約検査ですが、緊急時にも対応できます。
膀胱機能検査
膀胱の働き(おしっこをためる、おしっこをだす)を評価する検査です。検査には1時間ほどかかりますので、予約で実施しています。
入院治療
手術および危険を伴う検査は、入院にて行います。また、癌に対する抗癌剤治療・緩和治療、一部の尿路性器感染症なども入院で治療します。
脊椎麻酔または局所麻酔で行う手術では、術前に外来にて実施する検査で危険性が少ないと判断された場合は、手術当日に入院、午後から手術の体制で実施しています。2010年度は、全身麻酔で行う待機手術は、毎週火曜日・木曜日に実施しています。脊椎麻酔または局所麻酔の手術は月曜日から金曜日の午後に実施しています。
現在、当院では腎尿管結石に対する内視鏡治療を積極的に実施しています。レーザーを用いて結石を破砕します。全身麻酔または脊椎麻酔で行います。1cm以下の結石では、通常1回の治療で終了します。入院は2~4日です。
実績
手術件数 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
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鏡視下腎摘除術 | 5 | 6 | 7 | - | - |
鏡視下腎摘除術 | 5 | 6 | 7 | - | - |
鏡視下腎尿管摘除術 | - | 4 | 1 | - | - |
鏡視下腎部分切除術 | - | 1 | 1 | - | - |
開腹根治的腎摘除術 | - | - | 1 | 2 | - |
開腹腎摘除術 | - | - | - | - | 3 |
経皮的腎瘻造設術 | 1 | 5 | 2 | 2 | - |
後腹膜悪性腫瘍摘除術 | - | - | - | - | 1 |
後腹膜膿瘍ドレナージ術 | - | - | - | - | 1 |
腎嚢胞穿刺術 | 2 | 2 | 3 | 1 | - |
経皮的腎瘻造設術 | - | - | - | - | 2 |
経尿道的尿路結石除去術 | 24 | 18 | 13 | 16 | 14 |
経尿道的尿管搾窄拡張術 | 2 | 3 | - | - | - |
尿管尿管吻合術 | - | - | 2 | 1 | - |
腎盂尿管鏡検査 | 2 | 2 | 7 | 5 | - |
腹膜透析関連手術 | 11 | 3 | 8 | 9 | 6 |
経尿道的膀胱腫瘍切除術 | 34 | 31 | 36 | 34 | 27 |
膀胱水圧拡張術 | 4 | 2 | - | - | 1 |
経尿道的レーザー前立腺切除術 | 4 | 5 | 5 | 2 | - |
経尿道的前立腺手術 | 7 | 3 | 2 | 6 | 5 |
経尿道的前立腺吊上げ術 | - | - | - | 9 | 1 |
尿管ステント留置/抜去術 | 22 | 30 | 12 | 8 | 16 |
尿道ステント手術 | 1 | - | - | - | - |
尿道結石摘出術 | - | - | - | - | 1 |
経尿道的膀胱結石摘除術 | 6 | 3 | 11 | 7 | 2 |
陰茎コンジローマ手術 | - | - | 2 | 2 | 12 |
尖圭コンジローマ手術 | - | - | - | - | - |
包皮環状切除術 | 2 | 5 | 3 | 3 | 5 |
包皮背面切開術 | - | - | - | - | 1 |
高位精巣摘除術 | - | - | - | - | 3 |
精巣摘除術 | - | - | 5 | 1 | - |
精巣固定術 | 1 | 1 | - | - | - |
精巣悪性腫瘍手術 | 1 | 2 | - | - | - |
両側精巣摘除術 | - | - | - | - | 3 |
陰嚢水腫根治術 | 2 | 2 | - | - | - |
外尿道口形成術 | - | - | - | - | 2 |
外尿道口腫瘍切除術 | - | - | - | - | 2 |
長期留置型透析カテーテル留置術 | - | 3 | 5 | 2 | 2 |
透析シャント関連手術 | 118 | 151 | 114 | 78 | 62 |
前立腺生検 | 29 | 42 | 43 | 54 | 46 |
膀胱全摘手術 | 7 | - | - | - | - |
前立腺金マーカー留置術 | - | 9 | 9 | 10 | 5 |
合計 | 285 | 333 | 292 | 252 | 223 |
スタッフ紹介
氏名 | 職務 | 専門分野、学会認定等 | 卒業大学 | 卒業年 |
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江原 英俊 | 教授 | 泌尿器科癌、腎不全外科、副甲状腺、尿路結石症、日本泌尿器科学会指導医・専門医、日本透析医学会指導医・認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医 | 岐阜大学 | 1986 |
豊田 将平 | 医師 | 泌尿器科癌、腎不全 | ||
加藤 卓 | 非常勤 | 泌尿器科癌、日本泌尿器科学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、American Association for Cancer Research,Associate Member Societe Internationale d'Urologie,Member | 岐阜大学 | 2003 |