朝日大学病院

岐阜県岐阜市 橋本町3丁目23番地 [JR岐阜駅より徒歩約7分]

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麻酔科

麻酔科の概要

全身麻酔は、薬物により意識をとり手術の苦痛や不安から患者さんを護る手段で、現在の外科的治療において安全な全身麻酔の提供は必須の条件です。日本麻酔学会が全国規模で行った調査では、死亡や植物状態のような極めて重大な全身麻酔事故の発生はおよそ10万例に1例の頻度であると報告されていますが、近年の新しい麻酔薬・モニター・麻酔法の開発などにより、麻酔の安全性はさらに向上しています。我々は、日本麻酔学会認定病院として常勤医師及び非常勤の麻酔学会専門医および歯科麻酔専門医により毎年700件以上の全身麻酔を安全に施行しています。
さらに朝日大学歯学部及び保健医療学部の学生教育や医師・歯科医師の研修、救急救命士の気管挿管研修も受け入れ地域医療のみならず医療教育機関としての責務も果たしています。

  • 手術室1

    手術室1

  • 手術室2

    手術室2

診療内容

予定手術の全身麻酔業務の流れをご説明します。
手術が決定されると担当科において血液検査や心電図・肺機能検査など全身麻酔に必要な術前検査が実施され、麻酔科に全身麻酔の申し込みがなされます。あらかじめそれらの情報を検討し、ご家族などを含めた術前の麻酔科診察のスケジュールを設定します。事前にお渡しする病歴などに関する質問紙にあらかじめお答えいただいておくと麻酔科の診察がスムーズです。他院で受療中の疾患がある場合はそれぞれの施設から麻酔関連の情報提供をあらかじめお願いする場合もあります。麻酔科診察の当日は全身麻酔を実施するうえで必要な身体状況の確認と病歴確認をカルテ記載を踏まえながらご本人と確認させていただきます。お話を伺いそれぞれの方に合わせた術前の飲水可能期間の指定や服薬指示などをあらかじめさせていただきます。手術・麻酔当日の大まかな流れ(輸血などの必要性などを含め)をご本人やご家族の不安が無いようにご説明いたします。当日はあらかじめ検討した全身麻酔計画にそって麻酔科専門医である担当医が責任を持って実施します。術後は所定の鎮痛処置や呼吸管理など安全で苦痛が無いようにフォローさせていただきます。

主な検査と治療について

全身麻酔中の呼吸・循環モニターと麻酔記録

日本麻酔学会のガイドラインに従い、全ての全身麻酔症例は厳格な呼吸循環モニター管理下で実施されます。体動などに強いパルスオキシメーターを採用するだけでなく体液状態の推移を解析できる観血的動脈圧測定装置なども症例の特性に応じて使い分け安全な麻酔管理を行っています。麻酔管理のモニター記録は全自動でベッドサイドの麻酔記録として記録されるとともに、デジタル化され患者電子カルテと双方向に連絡し病院全体で必要なデータが共有できるシステムで管理されています。

全身麻酔に併用する硬膜外ブロック

硬膜外ブロックを全身麻酔に併用することで開腹手術など侵襲度の高い手術の周術期の強力な鎮痛を図ります。 手術部位に合わせて適当な脊椎レベルに持続注入用のカテーテルを挿入するのは繊細な技術を要します。椎骨の変形した高齢者や皮下組織の厚い高度肥満者などに対しても経皮的超音波画像描出下に穿刺を行うなどの工夫を行い実施率を高めています。挿入した硬膜外カテーテルには局所麻酔薬や鎮痛性麻薬の患者ごとに調整した薬剤を処方し安全で快適な術後鎮痛に努めています。

全身麻酔に併用する末梢神経ブロック

全身麻酔管理では意識消失に対する全身管理だけでなく、手術侵襲に対する適切な鎮痛手段が必要です。 鎮痛薬剤の経静脈的投与だけでなく、適切な末梢神経ブロックを超音波画像ガイド下で行うことで本院で取り扱うことの多い整形外科領域の上下肢の手術の鎮痛をより強力に行なっています。超音波による組織の画像描出がしにくい症例でも電気刺針を用いて神経同定を行うなどの工夫も適宜組み合わせています。

全身麻酔中の脳波モニター

全身麻酔中の麻酔深度を正確に知ることは現在においても未解決の問題です。適切な鎮痛薬を使用しながら深すぎない麻酔深度を維持するためにBIS(bispectral index)脳波モニターを使用します。術中の電気ノイズなどによる測定の不安定さを軽減するため近年開発されたdual BISモニターを新規採用しました。

歯科・口腔外科領域の麻酔管理

全身麻酔で行う手術の対象は全身の臓器です。外科手術は臓器ごとに専門性があるので多くの科に細分されています。歯科・口腔外科の領域も医師ではなく歯科医師が担当することが分かるように専門性の高い分野でそれに対応する麻酔にも高い専門性が要求されます。本院は歯科麻酔学会認定の研修施設であり歯科麻酔専門医2名が症例を担当します。(岐阜県に在籍する歯科麻酔専門医は5名であり、うち3名は穂積の朝日大学の医科歯科医療センターの日帰り麻酔などを担当し、侵襲性の高い入院を要する歯科・口腔外科手術は本院が担当しています。)歯科領域の治療では全身麻酔だけでなく歯科恐怖症など局所麻酔時に鎮静処置を加える必要がある場合もあります。いろいろな基礎疾患がある患者様も近年増えているので、呼吸・循環モニターを行いながら歯科麻酔専門医が安全な歯科鎮静を提供することができる施設での受療がお勧めです。

全身麻酔の安全性について

手術自体の安全度や合併症のリスクについては各科の担当医から説明があり、患者様は手術の危険度と効果を比較しながら判断されることになります。全身麻酔は手術の前提になるものでそれ自体がどの程度のリスクを伴うのかはご存じない方が多いのではないでしょうか。
 現在の全身麻酔の安全性は大変高くなっていますが全く危険が無いわけではありません。 日本麻酔学会の調査によれば1999年から2003年の5年間の麻酔科管理症例 5,223,174例の内危機的偶発症は12,954例(心停止3,249例・高度低血圧5,223例、高度低酸素症2,028例、その他1898例)が報告され、このうち37.5%(4858例)では術中死を含む何らかの不幸な転機を示しました。このうち麻酔管理が原因の死亡率は対1万例に0.1でした。(約10万例に1回の頻度です。)麻酔中の危険度は個々の症例ごとに異なりますが、我々は術前の慎重な検討などでできるだけ安全な全身麻酔を提供するように日々努力しています。

安全な全身麻酔のために患者様にお願いしたいこと

全身麻酔を安全に受けていただくため患者様にもぜひご協力いただきたいことがあります。
1)全身麻酔による手術が予定された場合、直ちに喫煙をお止めください。喫煙は術中の低酸素血症や無気肺を引き起こし、術後の肺炎の可能性を高くします。肺炎が起こらなくても喀痰排出が多くなり咳込みのために術後の痛みが強くなります。本数を少なくしたり電子タバコにするのでは全く不十分です。手術前一日でも長く禁煙の期間を確保してください。
2)気管支喘息・高血圧・糖尿病など基礎疾患をお持ちの場合は病院を受診ししっかりと治療を継続してください。自覚症状が落ち着いていることで治療を自己中断されていると手術に悪影響があるほど疾患が進行している場合があります。また、適度な運動習慣を保つことで過体重を避けてください。Body Mass Index(BMI)は 体重(kg)÷身長(m)2で計算しますが、30以上は明らかな過体重です。

実績

検査内容 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
全身麻酔管理件数 710 748 858 789 792

スタッフ紹介

部長メッセージ

麻酔科は科の性格上、特別な診療実績や治療法を特にアピールするようなことはありません。患者さんにとっては特に全身麻酔を意識することなくスムーズに手術が経過し、苦痛や不安が少なく退院していただけるよう、病院のインフラとして地道な診療を心がけています。

麻酔科部長 下畑 敬子

氏名
下畑 敬子
若松 正樹
名知 ひかる
上野 高広
外1名
職務
教授
教授
准教授
歯科医師
 
専門分野、学会認定など
日本麻酔科学会指導医 日本ペインクリニック学会専門医 日本頭痛学会指導医
日本麻酔科学会指導医
日本歯科麻酔学会専門医
日本歯科麻酔学会専門医
 
卒業大学
京都府立医科大学
 
 
卒業年
1987
 
 
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